法人案内

私が初めて障がいのある子どもと出会ったのは小学生の時でした。通っていた地元の小学校には、当時「特殊学級」とよばれるクラスがありました。そこには、身体、知的、そしてその両方に障がいのある子どもたちが通っていました。今でいう「特別支援級」です。

まだ小学生の私にとって、そのクラスの子どもたちにどのような不自由があるのかなど、あまりよくわかりませんでした。当時の私はとても活発な子どもで、人が大好き、誰にでも声をかけてしまうような子どもでした。そのクラスの子にも、朝会うと「おはよう！」と声をかけました。ところが返答がなかったためそのクラスの子を見つけると、毎日のように「こんにちは！」と声をかけたり、用もないのにそのクラスをのぞいたり…。そのクラスの先生がとても暖かいお母さんのような人で、ちょくちょく顔を出す私を教室に入れてくれたので、少しずつクラスの子も顔を覚えてくれたのだと思います。そしてある日のこと、校庭でそのクラスの子に肩をポン！とたたかれたのです。その時の嬉しさが、今でも記憶に残っています。

1970年に成立した「心身障がい者対策基本法」、1975年の国連による「障がい者の権利宣言」、1981年には「国際障がい者年」が制定されました。メディアでは、障がい者に焦点をあてたドキュメント番組やドラマがたくさん放映されていました。それを見ていた影響もあるのか、「将来は障がいをもった人と関わる仕事がしたい」と漠然と思うようになり、高校生の時は、重症児との交流を図るボランティアにも参加しました。このような経験の中で、理学療法士という仕事に就くことを選び、今に至ります。

理学療法士として経験を重ねる中で、地域の中で仕事を続けたいという思いを強く持つようになりました。６年前に昭島市に転居してきたとき、市内で障がい児を支援する事業所がないか探しました。しかし、当時は市内には見つからず、特に医療的ケアを必要とする重症心身障がい児については、近隣市町村にも支援事業所が少なく、受け入れが難しいということでした。

重度の心身障がいのある子どもたちにとって、あたり前のこととして、地域の中で暮らしていくということは大変困難な状況にあります。必要な支援事業所が非常に少ないことやご家族の方々、特にお母様方の日常的な心身への負担ははかり知れません。子どもたちの安定した生活を継続していくためには、ご家族のレスパイト(休息)目的の支援も大変重要であると感じています。

どんな障がいがあっても、その子らしく、その人らしく「地域」で暮らし続けるためには、何が必要なのか、私たちはチーム全員で考えたり悩んだりしながら、１歩ずつ前に進んでいきます。そして、子どもたちやご家族の皆さんと一緒に、誰もが生きやすい社会を創っていくことに希望をもち続け、尽力していきたいと思います。

2017年10月1日、「キッズサポートてんとうむし」は、児童発達支援3名、放課後等デイサービス4名、計7名でスタートしました。2020年5月1日より、放課後等デイサービス事業所として再スタートし、新事業所「ロングサポートLa・Nature(ナチュール)」も開所し、児童発達支援と生活介護事業を行っています。

開設当初から、ずっと私たちを支えてくれたお母様方をはじめとするご家族の皆様、そして地域の皆様方や関係機関の皆様方に心より感謝申し上げます。

これからも、「キッズサポートてんとうむし」と「ロングサポートLa・Nature(ナチュール)」を温かく見守ってください。よろしくお願いいたします。